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西安便り2-4(09.5.26)


西安便り2-4(09.5.26)

你们好!

“中国だい好き”の皆さんお元気ですか。

 西安は2週間ほど雨が降り続きましたが、先週初めからやっと晴れ間が出てきましたので、週末久しぶりに郊外に出て来ました。行き先は西安の南部にあります草堂寺です。

 西安の南部30kmから50kmの範囲に20程の古刹がありますが、その中でも興教寺、香積寺、草堂寺が有名です。玄奘三蔵の墓がある興教寺には以前行ったことがありますが、草堂寺は案内書にも道順をはっきり書いて無く、何となく躊躇していた場所です。今回は、日本人留学生2人を誘って行って来ました。

 先ずは、交大南門から401路バスで城南バスターミナルに行き其処で戸県行きのバスに乗り換え、更に九号路で草堂寺行きのバスに乗り換えです。「地球の歩き方」には「九路口」と書いてあるのですが、バスの切符の行き先表示は「九号路」となっており、更にバス停で看板を見ましたら「五九什字」となっています。意味が同じことは判りますが、表示が何種類も有るのは不思議な気がします。バスの所要時間は2時間程ですが、九号路から草堂寺行きのバスは30分に1台で、満員の場合には乗せてくれません。1時間待ちでした。草堂寺行きのバスにはバス停看板がありません。交差点近くなるとバスはクラクションを鳴らします。長閑なものです。折り返し点が丁度草堂寺入り口で、伽藍はそこから10分ほど徒歩です。

 西安の西部には麦畑と林檎、梨、棗の果樹園が多く有りましたが、南部のバス沿線は一段と長閑で、一面の麦畑と葡萄畑が点在しています。この地域の葡萄は有名で葡萄研究所があるそうです。麦は茶色に色づきそろそろ借り入れ時です。

西安便り2-4(09.5.26)_b0098096_9293779.jpg草堂寺の周辺では丁度菜種を収穫しており、山門前の広場も菜種を干して杵で打って脱穀していました。また、畑で収穫した菜種は荷車で家の前の道まで運ぶ人もおり、家のまでの道路一面に干していました。昔日本でも見たような景色で、草堂寺は大本山というより田畑の中の大寺院といった印象でした。

 西安便り2-4(09.5.26)_b0098096_9283213.jpg草堂寺は五胡十六国時代の鳩摩羅什(350~409)が3000人の弟子と共に経典の翻訳を行った場所として有名です。中国の仏教経典は唐代の玄奘三蔵による訳経を「新訳」といい、鳩摩羅什三蔵から玄奘三蔵までを「旧訳」といい、それ以前を「古訳」と呼ぶそうです。
日本の仏教にとっても、玄奘三蔵より鳩摩羅什三蔵の影響の方が大きく、この訳経を基に聖徳太子の「三経義疏」や「十七条憲法」も書かれ、また天台、禅、日蓮、浄土諸宗の訳経によるといわれています。特に、訳経の一つである「法華経」は日蓮宗の教義の原点といわれています。


西安便り2-4(09.5.26)_b0098096_933041.jpg草堂寺は唐代以降、何度も兵火に遭ったため、明清時代に再建されましたが、諸堂宇は文化大革命でことごとく破壊され、往時の建造物は鳩摩羅什の舎利塔と小堂だけがかろうじて残っています。高さ3mほどの舎利塔は小堂の中にありますが、全て玉で造形されており、参詣者が手で撫で触ったために彫刻は磨り減っていました。

現在の伽藍は日本の法華経信徒(日蓮宗)を中心とした諸国の献金により復元したものです。2000年と2006年の再建の記録があり、他の堂宇の再建を継続しているようです。
 新しい伽藍と判って「何だ!」と思いましたが、そこに行きますと1600年の歴史を感じ、日本との関係を知ることが出来、幸せな一日でした。

今度は帰国するまでに、日本の浄土宗の法然に大きな影響を与えた、7世紀創建の香積寺に行って見たいと思っています。日本の浄土宗では香積寺を「祖庭」と呼んでいるそうです。

中国だい好きの皆さん、歴史散歩は楽しいですよ。

再見!

2009.5.26
長尾圭介
 

by zuixihuan | 2009-06-05 09:37 | 西安便り