人気ブログランキング | 話題のタグを見る

西安便り2-6(09.7.16)



西安便り2-6(09.7.16)

你们好!

“中国だい好き”の皆さんお元気ですか。

日本はそろそろ梅雨明けだと思いますが、西安は連日最高気温38度の猛暑です。若干乾燥していますので、日陰は涼しいですが日中は校内の運動場や城市の人通りも少なくなります。果物屋の店先には早くから西瓜や桃が並んでいましたが、先週ぐらいから玉蜀黍、林檎、葡萄等が出始めています。中国はこれから果物の種類が多くまた美味しい季節になります。

私の中国生活も残り僅かとなりました。今回は3ヶ月という語学勉強には中途半端な期間で、余り進歩していませんが、彼方此方旅行をして楽しく、愉快に過ごせました。

7月5日に発生した新疆ウイグル自治区ウルムチでの暴動は中国でも連日報道されていましたが、最近は露出度が少なくなり、全貌や見通しが良く判りません。中国に居ますと、少数民族問題は中国が抱えている根本的な課題ということを何となく感じます。中国の少数民族は漢族と経済的社会的な融和を目指しているように思いますが、差別というより初めから隣は違う人という感じがします。日本人には良く判らない問題です。

西安では看板に「清真」という字が入った商店や食堂が沢山ありますが、少数民族の意匠を凝らした建物や衣服を着た人をあまり見かけません。成都ではチベット族やチャン族の住む建物は街の他の建物と造りや彩色が違い、また働いている人、街を歩いている人は民族衣装を着ていますので少数民族ということが直ぐ判ります。野良仕事等も民族衣装でやっています。私の目から見れば、漢族も少数民族も互いに自己主張が激しすぎる気もします。

我々日本人留学生は13人いますが、4人は交大に残り、2人は天津の別の大学に行き、残りは帰国です。7月に入ると、我々は何処に旅行に行くか、どのルートで日本に帰るか、列車の切符は如何する等の話題ばかりとなります。

今の時期は学生が大移動しますので、列車の切符確保が大変です。10日前に発券されるのですが、朝8時には長蛇の列で、やっと自分の番になったときには買いたい切符が売り切れということも有ります。日本人留学生4人が2週間程の新疆一周旅行を予定しやっと列車の切符を買っていたのですが、ウルムチ騒動で2人はキャンセルし、2人はウルムチの手前のトルハンあたりまで行くということで、12日の夜出発しました。私も初めは予定していたのですが、ビザ期限がありますので、あきらめていたところでした。

今年のおじさん留学生は、授業より旅行が優先という人が多く、私も7月3日の午後から2泊で『漢中』、12日夜から3泊4日(車中泊1日)で『延安』に行って来ました。

漢中は陝西省の南方にあり、三国志の時代に蜀の劉備、諸葛孔明と魏の曹操とが盛んに領地の取り合いをした地域で、歴史的に有名な場所です。諸葛孔明の墓もこの地にあります。西安と漢中との間に秦岭山地があり、以前は交通が不便で西安から列車、バス共に10時間掛りましたが、昨年5月に高速道路が開通しましたので今は4時間で行けます。

西安便り2-6(09.7.16)_b0098096_4311574.jpg我々おじさん4人は、午前の授業を終えて西安城南汽车站(城西汽车站、火车站からもバスは出ています。)に行きました。バスは1時間おきに出ているのですが、早い切符は売り切れで、午後4時半発がやっと買えました。3時間の時間待ちです。時間待ちは、日本でしたら直ぐ喫茶店に行くのですが、中国には喫茶店が無いのでこんなときに困ります。汽车站付近には食堂しかなく、ビールを飲んで3時間粘るしかありません。そこで、来たバスで大雁塔まで引き返し、ケンタッキーかマクドナルドに行って時間つぶしをすることとしました。

西安の喫茶店事情は、スターバックスが数店ありますが、コーヒーが30元位しますので、日本より高いです。上島珈琲店が何店かありますが、日本の上島珈琲とは関係ないそうです。大体『※※珈琲』という店は、日本のバーと喫茶店を併せた様な店で朝10時頃から夜2時頃までやっています。酒だけを飲むならこの様な店が便利ですが、少し高いです。程々美味しいコーヒーを飲んで時間的にも粘ろうとするなら、ケンタッキーやマクドナルドが最適だということが最近判ってきました。コーヒー1杯が6、7元で、どの街市でも火车站の近くの店でしたら時間待ち客が大勢います。

夜9時頃に漢中に着きましたので、先ずは宿探しです。高速道路汽车站は街のはずれにあり、中心部に移動しなければならないのですが、バスは8時で終わりです。タクシーに乗って、運転手にメーターを倒せと言ったら、直ぐ降りろです。普通は5,6元で行くところを10元要求します。降りてから色々なタクシーに当たりましたが、どのタクシーも10元を要求します。どうも話しが決まっているようですので、あきらめました。

街の中心部に広場があり、汽车站も側にあります。初めての街では中心部か、汽车站の近くに宿を取ると移動が便利です。中心広場の側には沢山の宿がありますので、我々4人はそれぞれ別々の宿に行き値段と部屋確認をして再度汽车站前に集まることとしました。我々の宿の価格の目安は、大きな街では180元位、小さな街では100元位の賓館としています。宿は20元の招待所からありますが、空調があり、温水シャワーが出て、人数分のタオルがあれば充分です。漢中では1泊80元(二人部屋)の賓館にしました。

漢中は都市としては開発が遅れていますが、西安に比べて涼しく周辺農家も豊かな感じがしました。見所は、武侯祠・武侯墓、そして周代に切り開かれた漢中から宝鸡に抜ける40kmの川沿いの石門桟道です。


西安便り2-6(09.7.16)_b0098096_4273150.jpg武侯祠は成都にもあり、全国に4、5ヶ所あるようですが、中国の人は諸葛孔明、劉備がとても好きなようです。ただ、何処も明、清時代に建造した建造物ばかりで、時代を感じさせないのは残念です。




西安便り2-6(09.7.16)_b0098096_4291537.jpg 
石門桟道は修復して一般客が途中まで通れるようになっており、漢江の支流の崖に作った桟道の趣が残っています。道幅が1m程で諸葛孔明が軍隊や軍事物資を運んだ道です。諸葛孔明は此処で物資を運搬するために一輪車の荷車を考案したそうで、博物館に模型がありました。途中20m程の岩を繰り抜いた場所があり、其処に有った石碑は博物館に移されています。歴史や書道が判る人には貴重な遺物だそうです。
 漢中の街は、大きな道から一歩裏道に入ると、道路一杯に屋台や椅子、テーブルが出ており、昼間から賑わっています。道端料理もなかなか美味しいです。

漢中から帰って来ても、帰国や遠隔地旅行に行くには未だ時間的な間がありますので、12日の夜からまたおじさん4人で延安に行って来ました。

西安便り2-6(09.7.16)_b0098096_4331099.jpg12日午後11時40分の软卧で出発し、朝7時30分頃到着です。延安火车站には丁度黄河壷口瀑布行きのバスがあり、3時に帰って来るということでしたので、飛び乗りました。黄河壷口瀑布は延安の東方約100kmにある滝です。正確には良く判りませんが、4、50m程の落差があり、川幅も狭くなっていますので中々豪快でした。宿は扬家岭石窑宾馆といいまして窑洞(ヤオトン)風に作ったホテルで革命旧跡の一つである扬家岭革命旧跡の中にあります。初めて予約をしました。階段方式で8層あり、全部で300室位のホテルです。サービスや部屋の造りは今一ですが変ったホテルを堪能しました。

西安便り2-6(09.7.16)_b0098096_4393333.jpg延安は中国革命の聖地といわれるとおり市内至る所に革命旧跡があります。詳しい話は内田先生に聞いていただくとして、江西省に本拠地を持っていた毛沢東らの中国共産党は国民党に追われ、いわゆる長征を経て1935年に延安に本拠地を移したということです。その後も1947年頃まで共産党の書記局があったそうです。

西安便り2-6(09.7.16)_b0098096_43465.jpg中国の現代史や延安の見所を良く知らない我々は、市の一番北にある棗園革命旧跡を先ず見て、それから中心部にある宝塔山に登り、市内を見渡してから、次に何処に行くかを決めるということで、14日をスタートしました。宝塔山は市内を流れる延河の南側の小山にそびえる八角九層の塔で、延安のシンボルとなっています。夜はライトアップされて大変優雅です。

西安便り2-6(09.7.16)_b0098096_4362443.jpg次に行く場所を決めていなかったのですが、宝塔山の北側にある清涼山の上に道教寺院の変った建物がありますので、タクシーで山頂に行き、歩いて降りて来ることとしました。山頂の伽藍以外に、山の南側の60度位の斜面に5,6層の建物もあります。南側が参道になっており、急勾配の階段が続いています。降りるだけでも大変です。山の下の方には万仏石窟や革命旧跡があり、予想以上に面白い場所でした。山頂の太和山の入館料は2元でしたが、麓からの入館料は31元です。タクシー代は30元でしたので、得をした感じがしました。

西安便り2-6(09.7.16)_b0098096_43745100.jpg15日は、宿の側の扬家岭革命旧跡と王家坪革命旧跡に行き、南の延安汽车南站に向かって移動することとしました。延安革命記念館は建物の全面立替で拝観出来ませんでしたが、どの革命旧跡にも毛沢東、周恩来、朱徳、劉少奇らの旧居があり、しかも全て窑洞方式でした。窑洞は黄土高原の山崖に作った洞穴方式の住居で、延安では現在も至る所にあり、生活に使われています。延安は街そのものが天然の要塞で窑洞は防空壕も兼ねているという感じがしました。上下水と電気さえあれば夏は涼しく、冬は暖かくて快適なようです。不思議と開口部が全てアーチ型で大きさもほぼ同じですが、枠組みや桟に工夫を凝らして特徴を出しているようです。

昼頃に延安汽车南站から高速バスに乗りました。切符に書いてある時刻に係わらず、満員になれば発車です。昼飯を食べるつもりで遅い時間にしたのですが、直ぐ乗れということで、途中のサービスエリアでパンを買うこととしました。私がバスの中で新聞を読んでいましたら(見出し程度しか読めませんが)、隣の人が貸してくれということで貸したところ、後は周りの人が回し読みです。ついに私の処には帰ってきませんでした。
途中事故が有ったようで1時間ほど遅れて7時間掛りました。

今日から部屋の方付けを始めています。帰国は青島経由で下関行きのフェリーに乗り、北九州空港から羽田に25日に帰る計画です。青島には3泊して街を堪能してきます。
フェリーは37時間です。時間が有りますのでゆっくり帰ります。

8月頃からまた皆さんの仲間に入れてください。
宜しくお願いします。

再見!
2009.7.16
長尾圭介

by zuixihuan | 2009-07-19 04:47 | 西安便り