東京都東久留米市の「グループ・中国だい好き」です。中国がだい好きな方々とのネットワーキングを大切にします。


by zuixihuan

昆明便り(2) “滇红の里を訪ねて”

 昆明便り(2) “滇红の里を訪ねて”

中国だい好きの皆さん:

お元気ですか。

昆明はブーゲンビリアン(雲南では花びらが3枚ですので「三角梅」といいます。)の花が満開で空も夏雲ですが、朝夕は肌寒く、未だ長袖シャツやセーターを離せません。b0098096_12191555.jpg

日本もゴールデンウイークですが、中国はメーデーを挟んで3連休で、大移動をしています。
 今回の旅行は、お茶を作っている所を見に行くことにしました。

雲南はお茶の原産地で、4000年前から薬として飲まれていたようで、今も樹齢1000年の高さ数十m、太さが大人3人で抱えられる程の樹が残っているそうです。雲南は普洱茶の産地であることは以前から知っていましたが、「雲南珈琲」や「滇红」という紅茶があることは、昨年富岡さんから聞いて始めて知りました。
 普洱茶は昆明の南方に位置する西双版纳が主な生産地で、茶馬古道でも知られていますように古来チベットやモンゴルとの交易が盛んであったようです。「滇红」という銘柄の紅茶があることを昆明に居る日本人は殆ど知りません。中国人も銘柄は知っていても生産地を知っている人は少ないようです。大学での中国語の勉強より、西双版纳を車で動き回ってお茶の勉強をしている韓国人によると、西双版纳の勐海と昆明の西方約530kmの凤庆が滇红の主な生産地で、特に凤庆(fengqing)が最高品質だということでした。どうすればお茶を作っている所を見られるかと聞きましたところ、現地に行ってお茶屋に入り、老板(オーナー)に聞くのが一番だということです。

 そこで、西安交通大学以来の友達と二人で、先ずは凤庆を目指すことにしました。29日(金曜日)に夜行列車で出発する計画でしたが、連休で切符が買えず、一日繰り上げて28日(木曜日)の夜11時の寝台列車で出発しました。昆明から真西に行く道が無く、凤庆に行くためには、一旦西北の大理に行き、其処から南下するしかありません。29日の朝大理に着きバスターミナルで凤庆行きのバスを調べましたら、1日1便で、しかも売り切れです。凤庆に行く道が分かれる云县までの切符を買い、8時20分のバスに乗り込みました。
 云县でバスを乗り換え、凤庆に着いたのが午後3時半です。バスターミナル周辺の旅館に先ずはチェックインして、街に出てお茶屋を探すこととしました。

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凤庆茶畑

凤庆の街は、建物は新しく綺麗ですが通りは車や人が少なく、旅館でも初めて外国人を泊めると言われ、茶馬街道から外れた生産地は長閑ですが経済的には裕福な感じの処でした。
 街の中心で東西南北の道が交差しています。その一角にバスターミナルがあり、向かいのビルの1階にお茶屋がありますが、他には見当たりません。先ずは其処でお茶を1杯飲むかということで、その店に入ったのです。30歳半ばの女性が1人居り、並べているお茶の品種や値段を聞いたりして、滇红を入れてもらいながら、あなたが老板かと聞くとそうだといいます。近くに滇红を作っているところが有るかと聞きましたところ、交差点を西に行ったら何軒もあるということでした。中国で直ぐそばにあると言うのは大体2、3kmありますので、急ぐ旅でもなく、ノンビリ一と何杯もお茶を飲んでいたところ、一人の若者(張さん)が現れました。

 彼は老板だという女性と親しく話をしており、お茶菓子持参で我々にも振舞ってくれます。顔立ちが何となく似ているので兄弟か従兄弟かと思い、明日時間が有ったらお茶を作っている所を案内してくれないかと言いますと、今日なら良いと言います。早速、彼の自動車(スズキの軽)で案内してもらうこととしました。
 凤庆は临沧市凤庆县で、人口は40万人程だそうです。最初に案内してくれたのは孔子を祭っている文廟です。昔は科挙試験を行ったそうで、昆明や大理といった中核都市から離れたこの様な街に立派な建物群が有るのは驚きです。

 次に行ったのが、滇红南路を渡った街の北側の通りで、お茶の問屋が道の両側に2,30件あります。店の中にはお茶をまるで石炭を山積みするように積んであり、出荷の為に歩道に積んだ茶葉を袋詰めする店もあります。このお茶は殆どが滇红で、主に黒龍江省に出荷するそうです。値段は1kg20元ほどで、近在農家が生産したもののようです。先ほどのお茶屋のお茶が1kg160~180元でしたので、卸値も20~80元くらいの開きがあるようです。西安のお茶問屋でざるに入れた茶葉を選別している様子を良く見かけましたが、成程こういうお茶ならもう一度選別しないわけにはいかないですね。
 お茶を作っている所は山の上の方で、案内してもらったのは新しい機械を使い家族で作業をしている工場でした。作業工程を教えてもらいましたが、生憎専門用語が判らなくて、間違っているところがあるかもしれませんが、作業手順は次のようです。
葇凋:摘み取った茶葉を水で洗い、一晩屋内で寝かせて水分を取り、葉を萎れさせる。
揉捻;翌日、蒸した茶葉を機械で1時間ほど揉む。
发酵:揉んだ茶葉をざるや木の箱に入れ棚に並べて発酵させる。
初烘;発酵が進んだ茶葉は機械か素焼きの釜で一度焙る。
  机械理条:次に整形する
  割末足烘:最後にもう一度焙って完成。
この工程は大体2週間だそうです。普洱茶は12日だといっていましたので、滇红の方が手間がかかっているようです。

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茶工厂内

「滇红」は1940年に付けた雲南産紅茶のブランド名で、種類は大きく分けて砕茶と香曲茶(葉を小さく丸める)と金針茶の3種類があり、以前は東欧に、今はヨーロッパ全土に輸出しているそうです。我々が見たのは、金針茶の作業でした。


 作業場をじっくり見せてもらいましたので満足して街のお茶屋に戻り、またお茶を飲んでいると店番の女性のご主人で老板の張さんが現れました。4人でお茶談議をしていましたら、先ほどの案内してくれた張さんも自分でお茶の工場をやっているようで、そこも見に行こうということになり、老板張さんと一緒に行くことにしました。着いたところはやはり山の上で「凤庆天飲茶公司」という従業員10人位ですが、一段と衛生管理の進んだ工場で、張さんは其処の経理(社長)だそうです。先ほど行った作業場は土間の様な所に茶葉を並べていましたが、この工場は工程ごとに間仕切りで区画し、茶の品質だけではなく、衛生管理も徹底しています。この工場では緑茶と2種類の滇红(品質の違う金針茶)を作っており、出荷先はお茶の本場である福建省だそうです。

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老板家族一起喝茶

 雲南省では北は大理辺りまでお茶が取れますが、凤庆は亜熱帯地域に属し、高度が1600mあります。年間平均気温が16~20度、年間降雨量が1000~1400mmで霧が多く、1日の内でも晴れたり曇ったり雨が降ったりと天候が目まぐるしく変わりますので、お茶の葉は雲南随一と言われるようです。お茶の葉も上から下まで(新しい葉から古い葉まで)薄緑色をしており、日本のお茶と種類が違うようです。一芽一葉が最高級品だそうです。
 此処まで親切に案内してもらいましたので、夕食に誘い、山の上の地鶏料理の店で一緒に食事をしました。食事が終わりますと、老板張さんが自宅でお茶をご馳走すると言います。スズキの軽がやっと通れる山道を登ったところに老板張さんの自宅があり、なんと其処でも4,5人の人手を雇ってお茶を作っていました。代々続くお茶農家だそうで、老板張さんは凤庆でただ一人普洱茶作りをしているそうです。焙煎鍋も素焼きの陶器ですし、揉み機もヒノキ作りで道具ややり方に拘っているようです。
 老板張さんのご両親も出てこられ、奥の土間の部屋に案内されました。其処は周囲が土壁で、奥の壁際に日本の囲炉裏のように火が炊かれ、鉄瓶が置いてあり、周りに小さな椅子10脚ほどあります。皆が火を囲んで座ったところで、お父さんが素焼きの小さな容器に一掴みの茶葉とお湯を入れ、火の横に置いて沸騰させます。そしてそれぞれの茶碗に5分の1ほどお茶を入れ、それに白湯を継ぎ足します。このお茶の入れ方、飲み方は凤庆ではどの家でもやっているそうで、沸騰のさせ方、白湯の継ぎ足し方等は中々微妙で、お茶を入れるのは家長の役割という感じがしました。老板張さんがお茶をご馳走すると言った意味が良く判りました。
 普通の旅行では見られないお茶の生産現場を見せてもらっただけでなく、大変な歓待をしてもらい、更に沢山お土産をもらい大感激でした。授業で ”中国人大都心地善良,待人热情,也乐于助人。” という句子を習いましたが、今回の旅で実体験しました。両張さんの様な若者が良いお茶作りにチャレンジしているのは、頼もしい限りです。
 
 今回の旅行は、先ずは凤庆に行って、その後普洱市にでも行って昆明に帰って来るかといった調子で、次の行き先をハッキリと決めていませんでした。両張さんから、ミャンマーの国境近くの「沧源」は色の黒い佤族が多くて面白いところだという話しを聞き、行ってみるかということで、翌日400kmほど移動することとしました。
 直通バスが売り切れで、行ったり戻ったりで沧源に着いたのが夜の9時でした。ところが、どこも宿が満室です。やっと一晩だけというところに泊まりましたが、普通は40元くらいの宿が100元です。それでも良心的な感じでした。一体何事かと聞きましたら、翌日の5月1日から泥を顔に塗り合う佤族の摸你黑(monihei)祭りが始まるそうです。それで満室です。
 翌日街を歩きますと、至るところで市や売店が出て大変な賑いです。宿を片っ端から聴いて回りましたが、何処も満室で、空き室が有っても1人1晩150元で3日連泊でないと泊めないといいます。何処の都市もそうですが、お祭りになると宿の値段が5倍位になります。

 
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沧源市街

沧源は国境の街という感じの一画(カラオケ飲み屋街)があり、また20kmほど手前で往復共に厳しい検問を受けました。少し危険な匂いがする面白そうな街ですが、我々は少々疲れてもおり、仕方なく、私は昆明までの直行バスに乗り、友達は別の街に行って泊まるということにしました。昆明まで夜行寝台バスで14時間、朝の4時半に着き、7時頃まで寝て宿舎に帰ってきました。
 雲南省は鉄道や道路の事情が悪いですが、バス網は発達しており、一日がかりの移動を覚悟すれば何処でも行けそうです。私も少しだけ雲南に慣れてきましたので、今度は古い街を探して行ってみたいと考えています。
 中国だい好きの皆さん、お元気に初夏の旅行を楽しんで下さい。

再見!
2011.5.6
長尾圭介

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Commented by トミQ at 2011-05-14 23:46 x
昆明の喫茶店で“滇红”を飲みながら個人レッスンを受けたり、“互相学习”をしていました。6年前で8元でした。毎回、二人分16元を払うのはちょっときつかったのですが、でもおいしかったです。
その紅茶の産地が“临沧”だということを、今回初めて知りました。
バス旅行を通して、教室の授業では得られない貴重な社会勉強をされていることを知り、素晴らしいと思います。留学も残り3カ月となりましたね。次回のバス旅行の報告を楽しみにしています。
by zuixihuan | 2011-05-13 11:59 | 昆明便り | Comments(1)