人気ブログランキング | 話題のタグを見る

会報59号-2(2007年7月21日)

59号-2(2007年7月21日)
「グループ中国だい好き」会報
『中国だい好き』
我们很喜欢中国!
Women hen xihuan zhongguo!



連載 中国で日本語を教えて 6
回想の雲南―少数民族のいる風景 3
吉見 ハルカ  

 
現代人の夢見る“理想郷” ――泸沽(ロコ)湖にて                                
 ……あ~、なんて気持ちのいい! 木陰に座った私はスケッチの手をしばし休める。
 そこは見晴らしのよい小高い丘で、馬の放牧地になっている。前方にはトウモロコシやヒマワリの植わった一面の畑に、点在する板葺きの民家。なだらかな山々に囲まれた湖が、吸いこまれそうな青い水を湛え、いくつもの小島の影を静かな湖面に落としている。
 人の動く影もなく、物音ひとつしない、時が止まってしまったような、夏の昼下がり……

会報59号-2(2007年7月21日)_b0098096_20272940.jpg
(湖を見下ろす小高い放牧場の木陰でスケッチ)
        
94年8月、はるばるやってきた雲南最果ての地「永寧」は、まさに山紫水明の別天地であった。森林に覆われた山襞からフィトンチッドが盛んに発散しているのだろう、空気のうまさは格別だ。泸沽湖の水は透きとおって指にやさしく、人は野菜を洗い、顔を洗い、水浴びし、洗濯もする。
日暮れどき、湖畔の小道は天秤棒で桶を担いだ水汲みの人、重そうな竹籠を背に野良しごとから帰る大人や子どもが往来する。夏休みの子どもらはりっぱな働き手だ。人だけではない。荷車を挽いた馬や牛、ロバ、放し飼いの山羊や黒豚、アヒルにニワトリ、七面鳥まで、我がもの顔で通るから、そちこちに“落し物”が散らばっている。でも空気が乾いているのでちっとも臭わない。

小波の寄せる岸辺で仕事帰りにくつろいでいる女性たちに声をかける。なかなか通じない。人懐っこい少女たちが方言を教えてくれた。ヌージェ(你好)、アミジ(谢谢)、アゼホン(再见)など、忘れないようメモする。 「あなたの子?」と訊いたら、なにやら照れくさげに「結婚なんかしてませんよ」と笑っているが、どうやらウソのようだ。彼女らは摩梭人(モーソーレン、ナシ族の仲間)といって、ここは母系制が今なお残る地として、研究者に注目されているという。

会報59号-2(2007年7月21日)_b0098096_2029321.jpg
(子どもらも重要な労働力)

私と留学生Tさんが2泊した民宿も母系の家庭だった。丸木をがっしりと組んだ大きな2階家に4世代7人が住んでいた。切盛りするのは50年輩の母親、大柄な体を民族衣装に包み貫禄十分だ。老母はもう隠居しているのか、着馴染んだ黒い衣装で母屋の前に腰かけ、長ギセルを悠然とくゆらせている姿は、家長の風格が漂う。30歳前後の息子と、幼児のいる2人の娘が母親をよく手伝っている。

つまり、いずれも配偶者が同居していないのである。「阿夏(アチュー)婚」と呼ばれる妻問い婚の形態で、産まれた子は母親側で養育するものらしい。

私たちが案内されたのは別棟の簡素な一室、山小屋風といおうか、木製ベッドがあるだけだが、シーツは清潔で掃除も行き届いている。外は通路だが、扉にはカギもない。通路には冷たい水の湧く井戸があり、突当りにトイレ。晩ごはんは野菜や湖でとれた魚料理が、中庭にしつらえた食卓に並んだ。

夜、母屋のほうは自家発電でうす暗い電灯が点るが、こっちには電気がなく室内は真っ暗だ。しぜん、私たちはまた湖へと足を向けることになる。星明りを頼りに脇の畑を抜けると、もう湖畔だ。

赤々と燃える火の周りで、摩梭人の若ものたちが踊っていた。笛に合せて、なにやら掛合いしつつ、手拍子をとり、単純なステップを繰り返し、男女の火影がいつまでも揺らめいていた。暗い波打ち際に立つと、頭上にも黒々とした湖面にも、無数の星が瞬いていた。流れ星がひとつ、またひとつ、スーッと白い尾を引いて、太古さながらの夜のなかを突っ切っていった。

寝る前に、懐中電灯を手にトイレへ行ったときのこと。個室の隔てがなく、踏み石の間に傾斜をつけた溝のあるオープントイレだ。ビロウな話になるが、用を足しているときふと、背後の石壁のむこうにモノの気配を感じギョッとした。なにか生き物が? ブハッ、ブハッと荒い鼻息、あ~と思った。豚があっちで待ちかまえているのだ。私にとってトンだ体験ではある。でも、こぞ“循環”のいちばんわかりやすいかたち、環境汚染防止にも役立つというものだ。

出発の朝、やはり湖畔に足が向く。吸い寄せられるように来てしまう。舫(もや)ってある小舟に身をもたせていると、いつか波間をゆらりゆらりたゆとうている気分になる。
……ここには汚れない大自然がゆたかに息づいている。人々はその気息に合せて、大地の上でゆったりと生きている。畑を耕し、家畜を飼い、湖で魚を捕り、母親を中心に和やかに暮らしている。大昔からずっと、ごくあたりまえに。
 「ここでしばらく暮らすのもわるくないな」と私が呟くと、Tさんが「そうね……でも、シャワーがないから、やっぱりムリか……」と、ためいきまじりに言う。
 ……願望と現実。そのあいだにはつねにギャップがある。夢のような願望を抱きつつ、その地に別れを告げ再び現実に戻っていく、それが旅なのだろうか……
 舫い舟に揺られながら、私の心もしばし、願望と現実のあいだをたゆとうている。        (次号に続く)


会員紹介
私の中国だい好き
山口 知子(新座市在住)


私の中国だい好きは昭和61年(1986年)の夏に始まった。

職場の有志で、3年に1回、大きな旅行をしようとお金を積み立て、旅行をしていた。そして、この年、「香港・桂林・広州」の旅となった。まだ開放されている都市も限られていた。どこに泊まるかも行ってみないとわからなかった。桂林では、ホテルが少なく、私たちが泊まったのは長期休み中に帰省して空いている学生寮の部屋だった。桂林の街に出るには、輪タク(自転車にリヤカーがついたもの)で、それに乗った50代後半の同僚は、「40年前の日本みたい!」と言っていた。
  
それから、やみつきになり、翌年は「上海・蘇州・広州」、次の年には「北京・洛陽・西安」をまわった。大都市なので、ホテルには泊まれたものの、建設中で工事しているものが多かった。龍門の石窟の大きさに魅せられた。
 そして、友人の栗原さんが北京日本人学校に赴任したのをチャンス!と、平成4年、5年には、夏に冬にと足繁く北京を訪れた。

北京の友達の家を拠点に大同やフフホトから入って大草原に足を伸ばした。内モンゴルは再び訪れてみたいところだ。
 冬の北京は、本当に寒かった。風が強かった。
 まだ、まわりには、自由市場があり、買い物を楽しんだ。
はじめて訪れた頃の中国とは変わって自由に出歩けた。でも、行っている間にも日進月歩中国はどんどん変わって行った。
当時は、人民元、兌換券と中国人と外国人が使うお金が違っていたが、1993年の夏、日本に帰る飛行機の中で、それらがひとつになるニュースを聞いた。

次に訪れたのは、平成8年(1996年)の夏、北京物資学院でのグループ中国だい好きの「北京短期留学」。半分授業で半分は観光(実地授業)。故山本潔さんにはとてもお世話になった。往復の飛行機から短期留学までの手配をしていただき、授業の合間、特に食事時には、生活に密着した中国語を教えていただいた。

その後も、三峡の旅、シルクロード(タクラマカン砂漠縦断)、と中国を訪れた。今、振りかえると、はじめて中国に行ったときから20年が経っている。
2度目に中国に行くにあたって、市販のテープで必要な中国語を覚えていった。その後、中国だい好きで中国語を学びはじめて10年以上経つ。一向に上達しない中国語。しかし、学習意欲は、中国への思いとともに薄れない。次に中国に行ったときには、もっと中国語が通じたらいいなあと、入門班で勝木先生の下、一から中国語の発音と文法の勉強に励んでいる。




お知らせ
8月26日に予定していた中国映画上映会は中止します!

毎年、8月の最終日曜日に、市民向けに中国映画を上映(無料)してきましたが、今年は会場(市民プラザ)がとれませんでした。図書館視聴覚室、さいわい福祉センターもダメでした。
上映会を9月に延期することも検討しましたが、どの会場も抽選のため、必ず使用できるとは断言できません。
9月には中国旅行、10~12月は講演会開催の予定があります。そのため、たいへん残念ですが、今年の中国映画上映会は中止させていただきます。
楽しみにしていてくださった方々には、心よりお詫び申しあげます。


新疆ウイグル自治区の旅  
  
今年の中国旅行は下記の要領で行います。ふるってご参加ください。
・日 時  平成19年9月10日(月)~19日(水) 10日間
・航空会社 成田(CA)→ 北京(CA)→ ウルムチ 
      成田(JAL)→ 西安(CA)→ ウルムチ
     (上記のいずれか)
・旅行代金 33万円  *1人部屋希望の場合は約4万円追加
・旅行代金に含まれないもの
     日本国内の交通費
     日本 ⇔ ウルムチ までの保険


会報59号-2(2007年7月21日)_b0098096_2031729.jpg
(市場でブドウを売る少年 
 ホータン)








[日程表(予定)]
  9月     行程             宿泊地 ホテル  
(1) 10日(月) 成田→西安(or北京)→ウルムチ ウルムチ 新疆大酒店
(2) 11日(火) ウルムチ→トルファン      トルファン 緑洲賓館    
(3) 12日(水)トルファン滞在            〃    〃
(4) 13日(木)トルファン→クチャ        クチャ   庫車賓館
(5) 14日(金)クチャ→キジル            〃    〃
(6) 15日(土)クチャ→ニヤ           ニヤ    民豊公寓
(7) 16日 (日)ニヤ→ホータン          ホータン  浙江大酒店
(8) 17日(月)ホータン→カシュガル      カシュガル 其尼瓦克賓館
(9) 18日(火)カシュガル→ウルムチ       ウルムチ  新疆大酒店
(10)19日(水)ウルムチ→西安(or北京)→成田  

・内田会長が中国の旅行社と何度も打ち合わせをして、日程を組んでくださいました。新疆ウイグル自治区は遺跡が多く、風景も堪能できますので、参加をお待ちしています。
*パスポート有効期間は、入国時15日間以上必要。
■申し込み連絡先  川村 電話・471-3960  (7月31日まで)
会報59号-2(2007年7月21日)_b0098096_21381220.jpg
ご存じ灼熱の火焔山 トルファン








中国の魅力を知る連続講演会(独自企画)
 

 1回 10月7日(日) 1時30分~4時(予定)
     「現代中国の地方自治」 
     鹿 錫俊 大東文化大学教授

 2回 11月25日(日) 1時30分~4時(予定)
     「近代中国とフランスの文化交流」
     内田 知行 大東文化大学教授

 3回 12月9日(日)    1時30分~4時(予定)
     「戦後の日中関係」
     殷 燕軍 関東学院大学教授

  *中央公民館の会議室が借りられない場合、会場が「男女平等センター」(予定)に変更になる可能性もあります。


教室、会場探しにご協力ください

最近、中国語教室、映画会や講演会などでの会場の確保がたいへん難しく なってきています。また、中央公民館は改修工事のため、来年の1月15日~3月15日まで閉鎖が予定されています。このため、各市民サークルとも代わりの場所確保をめざして動くため、10月以後は、中央図書館、各地域センター、男女平等センターなどに使用申し込みが殺到することが予想されます。会場確保のため、皆さんのご協力をお願いします。

会費納入のお願い

会費(年額1000円)は、会員への会報(1年に4回)郵送料のほか、その発行や中国映画上映会、自主企画講座(1年に3回)などの案内チラシ作成のための用紙代や印刷代、また会場費などにあてています。
今年度より、2年間会費の納入がない場合(8月31日までに今年度分の納入がなく、かつ昨年も納入されていない方)は、退会されたと判断させていただくことになりました。よろしくご了承、ご協力ください。(会計・森本)
by zuixihuan | 2007-07-22 20:33 | 会報