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昆明便り2-(4)

昆明便り2-(4)

中国だい好きの皆さん:

 お元気ですか。

昆明は最高気温28度で夏日です。今年も旱魃が続いていて、ついに17日から昆明市も地区別に断水を始めました。そして我々の賓館も今朝から明後日の昼まで断水ということになっていますが、今のところは水が出ます。そろそろ雨季になるのですが、未だその気配がありません。

昆明便り2-(4)_b0098096_8533856.jpg授業は最近中弛みの感じで、19人いたクラスも半数くらいになっています。

 昆明の最近の話題といえば、やっと新空港の様子が小出しに報道されるようになりました。新しい空港は、昆明市の東北25kmに位置し、「昆明長水国際空港」と名付けられ、6月28日午前8時に開港することとなりました。中国第4のハブ空港を目指しているということで、日本の5空港との直行便も運航されるという話もあります。

 しかし、市中心から新空港までの3分の2程度の距離に在る東部バスターミナルから新空港までしか地下鉄は開通されず、3路線のシャトルバスで結ぶそうです。新空港は市内地図からはみ出しており、高速道路もどの様に走っているのか良く判りません。とにかく、空港機能を1晩で移転し、地下鉄やシャトルバスも28日から運行するということで、暫くは様子を見る必要がありそうです。尚、今建設中の地下鉄6路線の全面開通は6年後ということです。

 中国に居ますと、実に中国らしい色々なニュースに出会います。例えば高層ビル火災対策として、ロケット弾を改良して中に消火剤を装填して打ち込むという実験に成功したという話にはビックリしました。北京のホテルでは火災報知機とスプリンクラーが付いているのに、何故か部屋に二組の酸素ボンベが置いてありました。また昆明の友達の高層マンションは、廊下にはスプリンクラーが付いているのですが、部屋には火災報知機もスプリンクラーも付いていません。煉瓦と土で家を作っていた中国では、火災に対する考え方が日本とは違うようです。

食品に係わる発癌物質や有毒物質の話題は尽きる事がありませ。ベルトやバックの皮の切れ端や腐ったような動物の皮を使って胶囊(jiaonang:薬のカプセル)を作りそれを大手の製薬会社が使っているとか、着色剤を溶かした水で栽培した苺とか、牛乳やリプトン紅茶から有害物質が発見されたとか、入れ替わり立ち代わり報道されています。

3月以来未だに引き続いて報道されている話題に「地沟油(下水油)」があります。2年ほど前、河南省で下水から油を回収して再製し、市中に安く出回るということで、西安でも油を多く使う四川料理などの安い店には行くなという話がでていました。

どうもその後油を下水に捨てることは少なくなったようですが、今話題になっているのは、飲食店などで出てくる廃油や残飯の処理問題です。行政が回収業者を指定して、排出する方も引き受ける方も記録を付けることを義務付けたが、費用を誰が持つか、また最終処理を如何するかが曖昧なままであった為に、再生業者が再生油を大手業者にまで流し、市中に大量に出回って、未だ根本的な決着がついていないようです。

昨年3月ごろ重慶で大規模な廃棄油再製の「地沟油」が摘発され、9月に14省の連絡機構が作られたが、その後安徽、上海、江蘇、重慶、浙江、山東で動物の内臓や死んだ豚を使った「地沟油」が摘発されています。最近は植物油と動物油を混合した油や工業用の豚油や魚油が「地沟油」として食用に市中に大量に出回るという事件が相次いで発生しています。

昆明便り2-(4)_b0098096_849496.jpg昆明市では、市内の飲食業者に「散装油(小分け販売の油)」の購入を禁止し、出所のはっきりしている桶詰めか瓶詰めの油の購入使用を義務付けました。市内に5万以上の飲食店があり、その内2.8万を調べた結果、32%の飲食店は出所のはっきりしない油を使っていることが判っています。市は廃油、残飯の搬出の記録を義務付けるだけでなく、各飲食店主に「地沟油」を使わないという誓約書を書かせ、店内に貼り付けさせていますが、小さな飲食店については未だ決着がついていないようです。

昆明便り2-(4)_b0098096_852894.jpg昆明市内は名所旧跡が少なく、美味しい食べ物屋を探すぐらいで、西安ほど彼方此方に行きません。それでもぶらぶら歩いていると思い掛けない場所に行き当たります。その一つが「灵光街(lingguangjie:通称泥棒市場)で、清末民初の古い街区です。






昆明便り2-(4)_b0098096_8525954.jpg宿舎から歩いて20分位で、円通寺を通り過ぎ、盘龙江という川と最近ファッションストリートになっている青年路を跨ぐ円通大橋の上から見ることができます。歩いても3分位の狭く短い通りですが、骨董品やブランド品など品数は少ないが雑多な品物を並べています。ここ数年は警察の取締りが厳しく、余り盗品は無いようですが、10年ほど前は公然と盗品を扱っていたそうで、目利きには面白い場所だったそうです。昆明市内の古い建物は5年ほど前に殆ど取り壊されたそうで、今も人の住んでいる街区は此処だけかもしれません。正義路の西側に古い建物が残っていたのですが、再開発のショッピングモールに繋げるためか、今此処も古い景観の新しい建物に建て替えられています。

先日日本人と昆明市では見るところはせいぜい500羅漢のある筇竹寺(qiongzhusi)くらいだという話をしていましたら、「金殿」の話が出てきました。場所は昆明市東北15kmくらいの、以前世界花博が開催された地域の一番奥まった処です。中国では風景地や名勝地と名の付く場所が沢山有りますが、中国人の団体客が多く、私は余り好きではありません。しかし、明末清初の呉三桂が作った金殿(銅製の建物、作った当初は金色だったのでそう呼ばれているそうです。)があり、また、明の永楽年間に作られた中国で2番目に多きいい釣鐘があると聞きましたので、一寸見に行って来ました。

昆明便り2-(4)_b0098096_8493192.jpg宿舎近くの雲南師範大学前からバスに乗り約30分で終着の金殿に着きます。 100段ほどの石段を登ると山頂で金殿とその奥に鐘楼があります。平西王呉三桂は李自成や鄭成功等と共に明末に清朝との間で覇権を争った地方豪族の1人ですが、1代で清朝に平圧されています。この頃の話は金庸が小説「鹿鼎記」に書いていますので読んで見て下さい。山全体を景勝地として整備してありますので、半日の散歩コースとしては先ず先ずの処です。

今回の中国も後1ヵ月半になって来ました。来るときには上海で濃霧の為に1日足止めをくいましたが、帰るときは新空港からですので、一寸心配しています。7月には帰国しますので、また皆さんにお会いできることを楽しみにしています。

再見!

2012.5.22
長尾圭介


 
by zuixihuan | 2012-05-25 08:47 | 昆明便り